【吉田香織選手 対談】ランナーのための筋トレ習慣 — 吉田香織さんに聞く、細くても強くなる秘訣

【吉田香織選手 対談】ランナーのための筋トレ習慣 — 吉田香織さんに聞く、細くても強くなる秘訣

“走る脚”は、ただの持久力だけでは作れない。 フルマラソン後半に足がきつくなるのは、有酸素能力の限界だけではなく、脚の筋力不足が大きな原因だと語るのは、長年第一線で走り続ける吉田香織さん。 今回は、自重トレーニングを中心にした「ランナー筋トレ」をテーマに、彼女の実践習慣や考え方をじっくりと伺いました。

 

きっかけ:なぜ“筋トレ”を取り入れたのか

――香織さんはもともと、筋トレを日常的にやっていらっしゃったんですね。始めたきっかけは?

吉田選手:学生時代の陸上部では、補強運動=筋トレはマストでした。ただし私が言う筋トレとは、ボディビルのようにウエイトを上げるタイプではなく、自分の体重を使ったナチュラルなトレーニング。ランナーとして走り続けるには、その方が体にも合っていると感じていました。

――具体的にどういう意図で筋トレを取り入れていたんでしょうか?

吉田選手:想像してほしいのが、フルマラソン後半の“脚の重さ”です。後半きつくなるのは、肺ではなく脚。足が限界になってしまっている。これは、筋力が足りていないことが一因。特に太ももの前側、大腿四頭筋あたりを鍛えることで、膝への衝撃を吸収しやすくなります。

――筋トレを続ける中で、どの頻度が理想だと思っていますか?

吉田選手:毎日やる必要はない、と思っています。筋肉の“超回復”は72時間ほどで始まるという考えがあって、1週間に1回くらい、定期的にやるのがちょうどいい。頻度が多すぎると筋肉に十分な刺激が与えられず、逆に効果が薄れる気もします。

 

筋トレメニュー:ランナーに合った種目とは

――具体的に、日常に取り入れている種目は何ですか?

吉田選手:おすすめはハーフスクワットカーフレイズ。まずハーフスクワットですが、足は肩幅ほどに開いて、膝がつま先より前に出ないように腰を落とす。これを自重で、キープしながら行います。膝痛を予防しつつ、脚の基礎筋力を鍛えるのに非常に効果的です。

――カーフレイズ(ふくらはぎ)はどう取り入れているんですか?

吉田選手:両足で立ったままで、かかとを上げ下げします。ふくらはぎを鍛えることで、蹴り出しや接地の安定性が高まり、長距離の後半で脚がブレにくくなるんです。

――それ以外に取り入れている種目はありますか?

吉田選手:プランクもやっています。インナーマッスルを鍛えてフォームを安定させるために、30秒ほどキープするのを日常に組み込んでいます。大きい負荷をかけるのではなく、“体幹を維持する力”を育てるイメージですね。

 

カーフレイズ

カーフレイズ
ハーフスクワット

 

 

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続けるコツ:習慣化のヒント

――筋トレを継続するうえで、挫折しない秘訣はありますか?

吉田選手:筋トレは“モチベーション”だけに頼ると続かない。だから私は日常のルーティンに組み込んでいます。例えば歯磨きをしながらカーフレイズを200回、テレビを観ながらハーフスクワットをやることもあります。苦しくても“ながら”でできるので習慣になりやすいんです。

――なるほど、“ながら筋トレ”というわけですね。

吉田選手:はい。走る前の5分、軽く筋トレを入れるのもおすすめ。特に冬場など寒い季節は、走る前に軽くスクワットやカーフレイズをすると体が温まって、走り出しもスムーズになります。

 

筋トレが走りにもたらす変化

――長く続ける中で、走りには具体的にどんな変化があったと感じていますか?

吉田選手:まず、後半になってもフォームが大きく崩れなくなりました。筋力がないと、後半疲れてくるとどうしても膝が落ちたり、接地が乱れたりしてしまいますが、自重筋トレを続けてきたことで安定感が増しました。

――それは大きなメリットですね。

吉田選手:はい。そして、筋力を持っていることで、筋肉を“保持”する力も強くなります。例えるなら、2リットルのペットボトルをずっと持ち続けられるような感覚。これがあると、走っている時に脚が急に重くなる感覚が減るんです。

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筋トレとランニングを組み合わせる際の注意点

――筋トレとランニングを両立するうえで、気をつけていることはありますか?

吉田選手:私は筋トレ → ジョグの順番でやるのが基本です。高負荷な筋トレをした後に無理してランニングをすると、酸素消費の面でパフォーマンスが落ちる可能性があるからです。

――加圧トレーニングやEMSなど器具を使った筋トレはどう思われますか?

吉田選手:個人的には、自重トレーニングがランナーには一番合っていると思います。加圧や電気を使った強刺激トレーニングは、かえって筋肉が硬くなって走りにくくなるリスクもあるので注意が必要です。

最後に:筋トレを取り入れるランナーへのメッセージ

――これから筋トレを始めたいランナー、あるいは習慣化したい人に向けてアドバイスはありますか?

吉田選手:まず週1回、自分のペースでいいのでハーフスクワットかカーフレイズを取り入れてみてほしいです。習慣化できれば、筋力、フォーム、そして走りの後半が格段に楽になります。毎日やる必要はなくて、“継続できる強さ”を筋トレでも作ってほしい。

――ありがとうございます。非常に参考になります。

吉田選手:こちらこそ、ランニングと筋トレの両方を続けたい人の助けになれば嬉しいです。

 


吉田香織さんの筋トレ習慣は、ランナーにとって本質的な強さを育てるもの。
タイムを追求するだけでなく、長く自分の脚で走り続けたい人に、ぜひ参考にしてもらいたいトレーニング法です。

プロフィール
吉田香織
1999年 国民体育大会陸上1500m準優勝3000m5位
1999年 アジアクロスカントリー優勝
2002年 横浜国際女子駅伝日本代表
2006年 2016年 北海道マラソン優勝
2010年 2012年 ゴールドコーストマラソン優勝
2015年 さいたま国際マラソン日本人トップ
2017年 2018年 ハセツネ30k二連覇
2018年 サロマ湖ウルトラマラソン50km総合優勝·大会記録
2018年 富士登山競走5合目の部優勝
2019年 青梅マラソン優勝
2019年 富士登山競走5合目の部優勝

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