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【インタビュー】風見尚選手 -100㎞マラソン世界記録保持者-
今回、R×L代表・武田大輔がインタビューするのは現100㎞マラソン世界記録保持者、愛三工業・風見尚選手。
2021年10月9日に行われた「柴又100K~東京⇔埼玉⇔茨城の道~」にて大会新記録を更新し見事優勝を果たされました。
フルマラソンを超える距離を走る抜くウルトラマラソンは体力のみならずメンタルの強さも求められる競技です。
そんな中、5㎞を20分切る驚異的なペースで走り続ける風見尚選手の大会前のトレーニング、食事、戦略、ソックス選びなどについて迫ります。
『フルマラソンを中心としたトレーニング』
ーー風見選手、柴又100Kをコースレコードでの優勝おめでとうございます。
風見選手:ありがとうございます。
ーー長い間、ウルトラマラソンのレースが開催されませんでしたがどのようなトレーニングをされていましたか。この夏のある1週間のメニューをお話出来る範囲で教えて頂けますでしょうか
風見選手:スピード持久力を向上させるためにフルマラソンを中心としたトレーニングをしました。
成果としてフルマラソンの自己記録を2019年「2時間16分58秒」から2020年「2時間13分13秒」へ短縮できました。
・水曜日 スピード練習
・金曜日 距離走(30㎞~40㎞)
・日曜日にクロカン練習
・それ以外の曜日は軽いジョギングをします。
また柴又100Kに向けてこの夏は新たに長野県の売木村で3日の短期合宿をして毎日60㎞を走り込みました。
ーー平均的な月間走行距離も教えて頂けますでしょうか
風見選手:月間の走行距離は800㎞~600㎞です。
『食事はレーススタート時間から4時間~3時間30分前』
ーーレース前に気を付けている事はありますか?またそれはどのくらい前からでしょうか
風見選手:レース開催2日前から脂っこい食事は避けるようにしています。
ーー前日の調整練習、夕食内容、就寝時間を教えて頂けますか
風見選手:前日は疲労軽減のため練習はしません。就寝時間は22時30分。夕食は妻が作ってくれているので献立を考える際の注意点を聞きました。以下のとおりです。
【献立を考える際の注意点】
食事の献立は下記6つの基礎食品群を参考にしています。1品足りないかなと思った時は、なるべく穴が空いている食品群から選びます。
①タンパク質→魚・肉・卵・大豆
②カルシウム→牛乳・乳製品・海藻・小魚
③カロチン→緑黄色野菜
④ビタミンC→淡色野菜、果物
⑤炭水化物→穀類・いも類・砂糖
⑥脂質→油脂・種実
その他注意点として
・調理方法を被らせない(煮る焼くなど)。
・色見を気にかけることを忘れない。
・果物を入れること、汁物を入れること、旬の食材を入れること
を気を付けています。
ーーレースの日の起床時間はスタート何時間前など決まっていますか。レース当日の食事はどうされていますか
風見選手:レーススタート時間から4時間~3時間30分前には食事をしたいので起床時間はそれに合わせて起きます
ーーレースにむけてゲン担ぎをされている事ありますでしょうか
風見選手:あえてゲン担ぎはしていません。
『気温差を考慮し中盤からペースアップ』
ーー柴又100K当日の天気は曇りで最高気温が28度、最低気温が20度くらいでしたがどのようなレース展開をイメージされていましたか
風見選手:スタートとゴールの気温差がある気象条件だったのでレース前半はペースを慎重に見極めて体力を温存し、中盤から後半にかけてペースアップをして行ければ良いと思っていました。
ーー実際にスタートし往路は5㎞を20分を切るペースで安定しているように見えますが展開はどのような感じでしたでしょうか
風見選手:他の選手も往路は慎重にペースを刻んで相手選手の調子を見ていたのかなと思います。
ーー復路も5㎞を20分切るペースを保たれていますが、65~75㎞間のペースが5㎞で1分速くなっていますね。風見選手にとってどのようなポイントだったんでしょうか
風見選手:復路に入って風が強くなってきたので他の選手の疲れが出てきているのを感じていました。
65㎞で少し集団のペースが落ちているような感じがしたのでペースを上げてみました。
ーーあらためて6時間31分47秒というコースレコードでの優勝おめでとうございます。コースレコードは最初から狙っていたのでしょうか。また途中の補給食や給水などはどのくらい取るのでしょうか
風見選手:ありがとうございます。レース中にコースレコードは特に意識していませんでしたが他の有力な選手が出場すると予測していたのでその中で競っていければコースレコードは出せると思っていました。
持参した補給食はジェルを6個携帯して大体20㎞ごとに摂りました。
『足指周りの空間を少し広めにとるためのラウンド型』
ーー今回、履かれていたのはR×Lの原点ともいえるソックスの一つラウンド型のTRR-10Gですが、このソックスの気に入っている部分を教えて頂けますか。それと5指ではなくラウンド型を選ぶ理由を教えて頂けますか
風見選手:TRR-10Gは足回り締付感がちょうどよく、生地の厚さや、足指の程よい空間が気に入っています。
私が100㎞ウルトラマラソンで完走した全てのレースでTRR-10Gを使っています。
あと、ラウンド型を選ぶ理由ですがあくまでも私の好みですがシューズ内の足指周りの空間を少し広めにとるためにラウンド型を好んで履いています。
ーーレースが開催される前提の話ですが2022年のレース予定と目標があればを教えて頂けますか
風見選手:2022年8月27日IAU100㎞世界選手権の開催が決まったのでそこでメダルを獲ることを最大の目標にしています。そのためにまずは日本代表選手選考レースで代表権を得ることが近々の目標です。
ーー今後のご活躍も期待していますし、さらに進化する風見選手を楽しみにしています。今回はお忙しい中ありがとうございました。」
風見選手:ありがとうございました。
風見尚選手 愛三工業所属。2018年6月、サロマ湖100kmウルトラマラソンにおいて、6時間9分14秒の世界最高記録で優勝。現100㎞マラソン世界記録保持者。 |