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マラソンの練習・大会本番に取り入れたい「心拍数トレーニング」
フルマラソンを走っている人ならば誰もが思う事、それは完走するだけでなく完走タイムを縮めたい、自己ベストタイムを更新したいという思いではないでしょうか。
また、それを実現するには日々の練習の強度を更に上げて走ることも欠かせないとも同時に思うことでしょう。
プロのマラソンランナーはもちろん、マラソン上級者は日々の練習時間も距離も一般のランナーより多く、練習内容もかなり強度の高いものとなっています。
そんなランナーが取り入れている練習方法に「心拍トレーニング」というものがあります。
難易度が高そうに思えるかもしれませんが、このトレーニングは一般のランナーでも行えるトレーニングでもあります。
この記事では心拍トレーニングにて取り扱うデータ、数値について解説し、及びそれを身に付けるための練習メニューについてもご紹介します。
心拍トレーニングとは?
心拍トレーニングとは、その名の通り「心拍」を意識したトレーニング方法です。
自身の心拍数を計測し、その数値を指標にしてトレーニング内容を決めるので、感覚だけで行うトレーニングとは一線を画しています。
普段の人の心拍数は1分間に約60拍だと言われていますが、ランニングやマラソンなどのスポーツを行うと心拍数は運動内容に伴って上がります。
そのような状況のときに自身の体の状況を心拍数でチェック、管理するので安全かつ効率的なトレーニングを実現する方法でもあるのです。
また、心拍数と一言で言っても心拍数には最大心拍数や安静時心拍数などがあり、プロのマラソンランナーやマラソン上級者は心拍数以外にもLT値やVO2MAXという数値をも使って自身の体の状況をチェックして心拍トレーニングに取り入れています(※ これらの用語、説明は次節にて行います)。
現在は、これらの数値が自動で計れる時計もあり、心拍数やその他数値も簡単に計測できるようになっています。
心拍数の計測の仕方
心拍数を測り、その上で心拍トレーニングを行う際は2つの心拍数「安静時心拍数」と「最大心拍数」が重要になります。
この節ではそれぞれの概要、及び簡単な計算、計測方法について説明します。
最大心拍数
一つ目の最大心拍数とは、自身の体がどこまで心拍数を上げられるかの最大値です。
最大心拍数を算出する方法はいくつかありますが、一般的な計算方法は「最大心拍数=206.9-(0.67×年齢)」という計算式で算出できます。
または「最大心拍数=220-年齢」という計算方法もあり、こちらは大まかな最大心拍数の数値を知ることができます。
最大心拍数を把握することで、運動する内容や目的に応じて目安になる心拍数が算出できます。
ちなみに運動の目安となる心拍数は「最大心拍数×目標の運動強度(%)」で計算可能です。
例えば脂肪燃焼(ダイエット)を目的にランニングを行う場合は「最大心拍数×50~70%」程度の運動強度が目安となり、体力維持が目的の場合は「最大心拍数×40~60%」ほどを目安に、逆に持久力アップのきつめのトレーニングなら「最大心拍数×80%」を目安に強度を決めれば、より効率的にトレーニングを行えます。
安静時心拍数
二つ目の安静時心拍数とは、何もせずにリラックスしている状態、普段の生活の中での心拍数です。
心身を落ち着けた状態で計測しましょう。
性別や年齢などはもちろん、個人差もある値ですが、健康な成人で1分間に約60~80回とされています。
ただし、プロのランナーや上級者ランナーなど普段から走り慣れているランナーの場合は、1分間に60回を下回ることもあります。
不整脈などを患っていなければ脈拍と心拍数はほぼ同じとなります。
手首の親指側を通る動脈の脈拍などからも大まかな安静時心拍数を測ることができます。
マラソン上級者が活用する値
プロのマラソンランナーやマラソン上級者が活用する2つの数値に「LT値」と「VO2MAX」というものがあります。
この節ではそれぞれの概要、及び簡単な計算、計測方法について説明します。
LT値
一つ目のLT値とは、「乳酸性作業閾値」と呼ばれるもので、運動中に急激に乳酸が溜まり始める値のことです。
乳酸が溜まると足の筋肉が疲労してしまうので、ランニングやマラソンなど長い距離を走る際はこのLT値を超えないようなペースで走ると良いとされています。
また、LT値が高くなればなるほどより速いペースを長時間維持して走れるようになり、更にLT値はトレーニングによって高めることもできます。
トレーニング方法は、LT値に近い数値を維持しながら走るペース走トレーニングが適しています。
厳密なLT値を測定するには専門的な機械などが必要ですが、簡単な計算式で大まかな数値は確認することができます。
LT値の計算式は「LT値=(最大心拍数 − 安静時心拍数) × 0.75 + 安静時心拍数」です。
VO2MAX
二つ目のVO2MAXとは、「最大酸素摂取量」を意味します。
Volume(量)とO2(酸素)、MAX(最大)を組み合わせた言葉であり、人が1分間で体内に取り込める酸素の最大量(単位はmL)を表します。
酸素は体内においてエネルギー生成に欠かせない要素であり、より多くの酸素を体に取り込めれば、それだけ多くのエネルギーを作り出せることにも繋がります。
長時間にわたって走り続けるうえで、非常に重要な数値といえるでしょう。
また、LT値と同様にVO2MAXもトレーニングによって高めることもできます。
トレーニング方法はきつめのトレーニングが適していて、例えばインターバルやペース走、ビルドアップ走トレーニングが適しています。
厳密なVO2MAXを測定するにはLT値と同様に専門的な機械などが必要ですが、簡単な計算式で大まかな数値は確認することができます。
VO2MAXの計算式は「VO2MAX = 15 × 最大心拍数 ÷ 安静時心拍数」です。
心拍数を意識したトレーニング方法
心拍数を把握することが重要であると意識した上でトレーニングを行えば持久力も高まりやすいです。
ここでは心拍数を意識して行うと良い有酸素運動、トレーニングを紹介します。
ウォーキング
一つ目のトレーニングはウォーキングです。
ゆっくりでもよいので、長い時間かつ長い距離を歩くことを目標にウォーキングしてみましょう。
歩くときは呼吸を意識するよう腹式呼吸を行いながら歩き、吸うよりも吐くことに意識を集中します。
鼻から息を吸い込んで口からゆっくりと吐き出し、そして息を最後までしっかりと吐き出すことが大切です。
息を全て吐ききったならば、吐ききった分を取り戻そうと自然と肺が酸素を取り込もうとします。
また、酸素をたくさん取り込めば取り込むほど脂肪の燃焼効果が高まってダイエット効果もありますし、呼吸が安定すれば心拍数も安定します。
ウォーキングでの呼吸に慣れてきたら少しずつ距離やスピードを上げるのも良いです。
早歩きを行い、次第にペース走に移行していくのもおすすめです。
ペース走
二つ目のトレーニングはペース走です。
ペース走とは、一定の距離を一定のペースで走るトレーニングです。
マラソンのトレーニングでは王道と言えるトレーニングであり、意識的か無意識に関わらず多くの人が実践しているトレーニングでもあります。
このトレーニングは一定のペースで走る感覚を養うことができるだけでなく、持久力の向上や足の筋力の向上も期待できます。
また、ペース走に限らずランニングはどうしても呼吸が荒くなってしまい、呼吸のリズムが乱れて呼吸が浅くなりがちです。
ウォーキングの際にも意識したように呼吸をしっかり行いながらペース走を行ってください。
呼吸が安定すれば心拍数も安定し、持久力も次第に向上していくのでおすすめのトレーニングです。
LSD(ロングスローディスタンス)
三つ目のトレーニングはLSD(ロングスローディスタンス)です。
LSDとは、その言葉通りに長い距離を自分のペースでゆっくり走り続けるマラソントレーニングの一つです。
このトレーニングのポイントは自分のペースでゆっくり、かつ長い距離を走ることです。
そうすることで毛細血管の発達や心肺機能も向上するので多くの酸素を身体に取り込みやすくなり、その酸素も体全体に行き渡りやすくなります。
また、LSDも呼吸を意識して走り、呼吸が安定すれば心拍数も安定しますし、体内の脂肪を燃やすことでエネルギーに変換するので走るための余計な脂肪が燃えやすく、ダイエット効果もあります。
有酸素運動による身体能力の向上と、余計な脂肪が燃えることで締まった身体になり、マラソンのような長距離を走ることに適した身体となる理想的なトレーニング方法だと言えます。
まとめ
毎日ランニングやトレーニングをこなしているのに結果に結びつかない場合は、負荷の設定がうまくいっていないことが往々にしてあります。
適切な負荷をかけることは効率的な脂肪燃焼を促してダイエット効果が表れるのはもちろん、持久力や足の筋力も伸ばす効果もあります。
そうなるためにはやはり自身の心拍数を知ることが重要です。
自身の心拍数を知ることで適切な負荷を設定することができますし、適切な負荷をかけたトレーニングこそが自身の能力を伸ばすことになるからです。
そしてそれを常に意識するためにもトレーニング中の呼吸に気をつけて心拍数も意識しておいてください。
是非、自身の心拍数を把握して適切なトレーニングを行い、マラソンのタイムを縮めて自己ベストを更新してくださいね!